
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
成人の場合、いびきをかく人で、1時間に5回以上睡眠時無呼吸があり、日中に強い眠気や集中力低下などがあると睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
診断には睡眠検査を行いますが、多く見られるのは、のどが塞がって起こる閉塞型睡眠時無呼吸です。顎が小さいことや肥満が原因となります。
主な治療には、CPAP(シーパップ)という治療器械をもちいる方法、マウスピースを夜間装着する方法がありますが、無呼吸の重症度によって変わってきます。
この病気は、日中の眠気、熟睡感のなさなどの他、高血圧症や心臓病や脳血管疾患を悪化させるのでできるだけ早く診断し、治療を始める必要があります。
また緑内障の合併も多く、緑内障が重症化しやすいことも知られています。放置しておくと失明することもありますので当院では定期的に眼科でチェックを受けていただくようにしています。
寝ている間の無呼吸を防ぐために気道に空気を送り続けて気道を開存させて治療する方法です。CPAP装置からエアチューブを伝い、鼻に装着したマスクから気道へと空気が送り込まれます。
CPAP療法を適切に行うことで、睡眠中の無呼吸やいびきが減少し、眠気の改善や、血圧を下げる効果が期待されます。
軽度な症状に適した治療方法です。
睡眠時に、マウスピース(スリープスプリント)を装着し、下あごを上あごよりも前方に出すように固定させることで上気道を広く保ち、いびきや無呼吸の発生を防ぎます。また、歯ぎしりの治療の際にも採用されます。
一般的な流れをご紹介いたします。個々の症状や事情により治療計画を作成していきますのでご安心ください。
(他院からのCPAP治療のクリニック変更については、使用している機器が変更になる場合もあるため事前にお問い合わせしていただけると幸いです)
来院されましたら受付に保険証や診療情報提供書(持参された方のみ)をご提示ください。
診療申込書兼問診票をお渡ししますのでご記入頂き、終わりましたら受付スタッフにお渡しください。(オンライン問診で入力していただいている方は不要です)
※出来る限り詳しくご記入ください。特に他の医療機関にお掛かりの方は受診されている医療機関名、病名、処方内容などお教えください。
問診でお伺いした事をもとに、医師が診察を行います。睡眠不足が引き起こす諸問題などをご説明していきます。
次に個々の睡眠障害に対応するために必要な検査を行います。
実際の睡眠状態を把握するためにご自宅で行う簡易睡眠検査(終夜睡眠ポリグラフィー)を行います。機器をご自宅に郵送させていただきますので、動画をみながらご自身で装着をし検査を行います。おおよそ2~3週間程度を目安に次回の検査結果説明のための外来の日程調整を行います。
今後の治療を行う上で、特に器質的な問題がないかどうかを把握しておくことは治療の幅を広げる上で非常に重要となりますので、出来る限り実施されることをお勧めします。
当院は原則保険診療にて治療を進めていく保険医療機関です。費用としては3割負担の方で簡易検査で5,000円前後、精密検査で13,000円程度、CPAP治療を行う場合は月々5,000円程度がおおよその目安となります。
自宅での睡眠検査を行った後、その結果説明のための外来を行います。その結果によって、治療を開始出来るか、更なる精密検査を行うのかをご相談の上決定することとなります。しっかりとご納得頂きながら治療に繋げていきたいと考えています。
Q1. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは何ですか?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が繰り返し止まったり浅くなったりする病気で、日中の強い眠気や集中力低下、高血圧や心血管疾患のリスク増加につながります。多くは閉塞型(OSA)で、気道の閉塞が原因です。
出典:日本呼吸器学会「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」/American Academy of Sleep Medicine (AASM) Clinical Practice Guidelines 2021
Q2. SASにはどのような症状がありますか?
代表的な症状は、大きないびき、睡眠中の無呼吸、日中の強い眠気です。起床時の頭痛や口の渇き、集中力低下、性格変化などを伴うこともあります。これらが長期間続く場合は受診をおすすめします。
出典:日本呼吸器学会「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」/AASM Clinical Practice Guidelines 2021
Q3. 簡易検査とはどのようなものですか?
簡易検査(在宅睡眠呼吸検査)は、自宅で装着できる小型機器を使い、睡眠中の呼吸状態や酸素飽和度を測定する方法です。検査の負担が少なく、重症度のスクリーニングに有用です。異常があれば精密PSGで確定診断を行います。保険診療(3割負担)で自己負担は約5,000円程度です。世田谷区の当院でも簡易検査を行っております。
出典:日本呼吸器学会「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」
Q4. 精密PSG検査(終夜睡眠ポリグラフ検査)の費用はどのくらいですか?
精密PSGは通常入院が必要で、専用個室を利用する場合は個室代を含め約3万〜10万円以上かかることがあります。世田谷区の当院では外来で1.3万円程度で行えるPSG検査を行っています。
出典:日本呼吸器学会「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」
Q5. CPAP治療の適応基準は何ですか?
CPAP(持続陽圧呼吸療法)は、重症SASに対して第一選択とされます。保険適応の基準は以下の通りです。
簡易検査でAHI(Apnea–Hypopnea Index)が40以上
精密PSG検査でAHIが20以上
いずれかを満たす場合に健康保険が適用されます。
出典:日本呼吸器学会「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」
Q6. CPAP治療とはどのようなものですか?
CPAPは、睡眠中に鼻マスクから空気を送り続け、気道の閉塞を防ぐ治療です。重症SASに対して高い有効性が報告されています。保険適応で月々5,000円程度の自己負担がかかり、月1回の受診が必要です。世田谷区の当院でもCPAP治療に対応しております。
出典:日本呼吸器学会「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」/AASM Clinical Practice Guidelines 2021
Q7. マウスピース治療はできますか?
マウスピース(口腔内装置)は軽症〜中等症SASに適用される治療法です。当院では作成しておりませんが、必要な場合は歯科への紹介状を作成し、連携して対応しております。
出典:日本呼吸器学会「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」