これまで20年間、慶應義塾大学病院、北里研究所病院という総合病院で働いてきました。
喘息やCOPD、間質性肺炎や肺がんの患者さんを多く診てきましたが、今でも私自身の診察に大きな影響を与えてくれた患者さんのことをよく思い出します。
様々な抗がん剤の治療をしてきましたが、効果なく予後があと数ヶ月というところまできた進行期肺がんの患者さんでした。
その方が海外に旅行に行きたいというのです。国内ならまだしも海外となると万が一何かが起きたときに直ぐに適切な処置ができません。何度も何度も患者さんやご家族と話し合いを重ねましたが、患者さん自身の強い意志と覚悟を感じ最終的には何かあった時のために紹介状を書きました。
もしかしたら日本に帰ってくることができないかもしれない。そんな命懸けの旅行への思いをそっと後押ししたのでした。
そして数週間海外への旅行を叶え、日本に戻ってきてから2週間でこの世を去ったのです。
皆さん様々な生き様や想いを抱えながら病気と向き合っていらっしゃると思います。
私は一日一日を過ごすことができて良かったと少しでも思えるお手伝いをしていきたいと日々診療に向き合い、その中でプライマリ・ケアと専門医を繋ぐかかりつけ医の重要性を感じるようになっていきました。
そして2024年4月にこの尾山台という地域で皆さまのかかりつけ医となることができるように開業いたしました。
20年間、総合病院で患者さんと一緒に歩んできたからこそ伝えることができる言葉を力として、皆さまと一緒に病気のことについて考えていきたいと思います。
あまいろ呼吸器クリニック 院長中山 莊平(ナカヤマ ソウヘイ)